[レポート]モバイルオンラインゲームのアプリ外課金の導入と運用方法について #CEDEC2024 #classmethod_game
こんにちは、ゲームソリューション部のsoraです。
今回は、CEDEC2024のセッションレポートを書いていきます。
セッション概要
受講スキル:
- アプリ外課金に興味のある方
得られる知見: - アプリ外課金の導入や運用方法
セッション内容:
モバイルオンラインゲームにおいて、プラットフォームを介さずにユーザーに課金機能を提供する、いわゆるアプリ外課金の導入事例が増えてきております。
本セッションでは、アプリ外課金の日本・海外での導入実績を元に、まずはアプリ外課金の概要について紹介し、その実現方法についてお話します。また、リリースまでに注意すべき事項や運用に入ってから発生した問題などを事例も交えつつお話しさせて頂きます。
レポート
はじめに
アジェンダです。
モバイルアプリの課金手数料
App Storeでの手数料は変更前30%だったが、現在は手数料17%+決済手数料3%+コアテクノロジー手数料と変更された。
一見安くなっているように見えるが、コアテクノロジー手数料があることで、アプリによっては変更前とあまり変わらないこともあるそうです。
この手数料を回避するためにアプリ外課金を導入する。
アプリ外課金のメリット・デメリット
アプリ外課金のメリットは以下です。
デメリット3はメリット1における収益改善で回収できるとして、ポイントはデメリット1と2をどう対処するかが重要な点です。
決済サービス
海外販売での大きなハードルは税務とのことです。
個人的に海外の税務周りでのハードルについては、あまり考えたことがなかった点だったので新しい発見でした。
単純に為替を考慮して価格を変えるだけでなく、税務周りを意識しなければならないのですね。
アプリ外課金の構築において、課金周りで利用するサービスとして、決済プロバイダー・MoRがあります。
- 決済プロバイダー(決済代行会社)は、様々な決済手段を提供するサービス
- MoR(Merchant of Record)は、ユーザとの取引の間に入って、取引全般の責任を負うサービス
併用して利用する上で、構成が複雑になりそうな気がしましたが、手数料を考慮したコストメリット的に併用した方が良いのだと思います。
サービス会社の設定基準
機能面では、税金を考慮した設定ができるか、不正対策機能があるか。
販売したい商品が扱えるかは、ゲーム内仮想通貨が使えない会社もあったりしたそうです。
システムに組み込む際の導入のしやすさみたいな面も、重要なポイントかなと思いました。
「キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~」のアプリ外課金
「キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~」のアプリ外課金については以下です。
決算処理の画面はMoRのシステムのものとのことです。
スライドを見ると、MoR側で良さげな決済処理の画面も提供されていそうなので、ユーザも違和感なく使えそうだと思いました。
ユーザの利便性の低さを考慮した機能開発が以下です。
新しくアカウントを作成してアプリのアカウントと連携させてとなると結構な手間に感じて、少し安くなる程度では自分だったらやらないと思ったため、ゲーム内のユーザIDのみでログインできる機能は特に良いと思いました。
構築の振り返りは以下です。
開発工数は15人月程度とのことなので、工数だけ見るとアプリ外課金の手数料による収益改善で回収できそうなものなのかなと思いました。
想定したカスタマージャーニーと結果
想定したカスタマージャーニーは以下です。
公式Discordとメールでプロモーションして、初回限定商品を軸にクーポンなどで購入体験をしてもらう狙いだったそうです。
リリース後の結果は以下です。
新規利用者が増えないことに課題があり、売上目標が達成できなかったとのことです。
改善施策と結果
改善施策は以下です。
メールのタイトルを変えるだけで、約50%程度開封率が上がっているのはすごいと思いました。
メールアドレス登録でアイテムが手に入ったり割引されたりというのは、ゲームアプリでよく見ますが結構な効果があるようですね。
振り返り(まとめ)
振り返りです。
利便性は決済プロバイダーやMoRを使うことで改善できる。
アプリ外課金の認知について、アプリ内で直接誘導できないため、認知を広めるのはやはり苦労する点なのだなと思いました。
最後に
感想
アプリ外課金について、手数料が安くなるため最近ではよく話を聞くとは思いつつ、実際の実装やデメリットの話を伺えて勉強になりました。
税務周りの話は意識したことがない部分だったため、知ることができて良かったです。
スマホアプリは特にアプリ内での縛りが多い気がしていて、アプリ外課金を導入するために実装以外にも様々なハードルがあることを知ることができました。
最終的に売上改善につながったとのことなので、アプリ規模によっては導入する価値が確かにあるものだと感じました。